2009年5月5日火曜日

展示品:30 錦絵新聞・東京日々新聞 芳幾


 画・一恵斎芳幾(よしいく) 版元・具足屋嘉兵衛(具足屋)制作・1874(明治7)年 竪大判 渡辺彫栄 落合芳幾(一恵斎芳幾)は本名幾次郎 1833(天保4)年-1904(明治7)年 歌川国芳の門下で月岡芳年と兄弟弟子として浮世絵師また新聞人として活躍した。
東京初の日刊紙『東京日日新聞』が部数を伸ばすことに目をつけた絵草紙問屋「具足屋」が、東京日々在籍の落合芳幾と戯作者・山々亭有人と版元の協力で、新聞記事から一般に受けそうな「美談・情痴・殺人」など題材を選び、錦絵に記事をつけ情報提供の機能と娯楽性を持ったユニークなメディアとして発売した。芳幾は写実的技法が素晴らしく、生々しい題材にも浮世絵以上のリアリティー溢れる描写で、刺激を求める人々の評判となった。予想を超えた部数が売れたことで、同じような錦絵新聞が全国で発行されることになった。
第1号は東京日日新聞の第1号トップ記事と同じで、長野県で起きた貞婦「せん」と悪僧「慶山」の事件を題材にしている。

長野事件のあらまし
 信州今井村に宇兵ヱという貧しい農夫がいた。働き者だったが病を得て3年も床に就いたままだった。妻のお仙は貞淑で美しく、懸命に夫の看病をしていた。ある時、慶山という東京の僧がこの地にきたのを知って、お仙は夫の治癒を祈ってほしいと頼み家に呼んだ。ところが慶山は、お仙の姿色に迷って迫るのである。これに従わないお仙に慶山は欲望を抑えきれず翌夕、白刃をもって迫り、頑として従わず逆に諌めたお仙を殺害してしまう。

 2009年5月8日~8月9日 東海道の宿場「鳴海」の古今~記者の目で見つけた地元の歴史~(荒木集成館)展示品 淡河俊之コレクション

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